私が好きなフランスの詩人はアラゴンとエリュアールだ。
アラゴンの「ストらスブール大学の歌」の一節は日本でよく引用される。
「教えるとは希望を語ること。 学ぶとは誠実を胸に刻むこと」(大島博光訳)
ストラスブールはフランスだが、かつては神聖ローマ帝国に属し、フランス領となってからもドイツの国境近くにあり、独仏間で領有権が争われてきた。1919年にフランス領となるが、1940年にナチスによって侵略された。1943年11月、ナチスによってストラスブール大学の教授や学生が殺され、数百人が逮捕された。それに対する怒りを込めてアラゴンがつづった詩だ。
「学問とは永い永い忍耐
だが今 なぜすべてのものが黙っているのか
ナチどもははいりこんできて 殺している
暴力だけがやつらのただ一つの特性だ
殺すことだけがやつらのただ一つの学問だ」
学問が実を結ぶには永い忍耐が必要なのだが、政権や経済界は短期で経済に結び付く技術だけを求める。肉体を殺しはしないが、学問の自由を殺している。
そんなストラスブールを見たくて、ドイツを旅行したついでに訪れた。写真は詩の中に出てくるカテドラル。